栄養摂取をデザインする

sora note vol.6

前回は、月面農場で育てられる8種の作物を用いた食事シミュレーションから、不足しがちな栄養素を検討しました。月面に想いを馳せながら、地球上での私たちの生活を考えてみましょう。もしかすると、月面農場で不足が懸念される栄養素は、地球上での日常生活においても足りていないかもしれません。
今回は、ビタミンDとカルシウムを中心に、不足しがちな栄養素を補う方法を考えていきましょう。

ビタミンDを多く含む食品と体内での合成について

ビタミンDの主な働きには、①カルシウムとリンの吸収促進、②骨の形成と成長促進、③遺伝子の働きを調節(免疫向上・糖尿病予防・発がんの抑制)が挙げられます。

では、不足するとどうなるのでしょうか。

小児ではクル病(*)、成人では骨軟化症や骨粗しょう症のリスクが高まります。

*:子どものときにカルシウム・リンが骨基質に十分に沈着せず、骨塩(セメント部分)が不十分な弱い骨ができてしまう状態

ビタミンDが不足している状態だと、他の栄養素を取っていても上手く利用されないということが起こり得るのです。

では、不足しがちなビタミンDは、どのようにして得るのが良いでしょうか。
人がビタミンDを得るには、主に2つの方法があります。1つはビタミンDを多く含む食品を摂取すること、そしてもう一つは、紫外線を浴びることによって体内で合成することです。

ビタミンDを多く含む食品には、メカジキやサーモンなどの魚類、マイタケやマッシュルームなどのキノコ類、ヨーグルトや牛乳などの乳製品や鶏卵があります。乳製品には、ビタミンD含有量を増加させた商品なども発売されています。キノコ類では、紫外線に当てて乾燥させたものがよりビタミンDを多く含むとされています。

続いて、人がビタミンDを得るためのもう一つの方法である日光浴について見ていきましょう。

厚生労働省の食事摂取基準によると、食品からとるビタミンDの目安は5.5µgとされていましたが、人にとって1日に必要なビタミンDの量は15µg以上です。足りない分の約10µgのビタミンDは、体内で生成することを前提としているのです。

紫外線の量は季節や場所、時間帯によって変動し、個人差もありますが、1日に必要な日光照射時間は、夏であれば15〜30分程度です。

ただし、日差しの強い夏には、紫外線の浴びすぎによる健康への悪影響(日焼け、シワ、シミなど)が懸念されます。紫外線による悪影響への対策はしつつ、極端に避けることのないよう、紫外線と上手に付き合うことが必要です。



〈参考〉体内でビタミンDが合成されるまで
人にとってビタミンDのいちばん大きな供給源は、皮ふにある7-デヒドロコレステロール(プロビタミンD3)です。紫外線(UV-B)が当たってプレビタミンD3になり、体温によってビタミンD3に変わります。こうして生成したビタミンD3は、ビタミンD結合タンパク質によって肝臓に運ばれて、必要に応じて利用されます。

カルシウムを多く含む、おすすめ野菜3選

カルシウムというと、牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品、骨ごと食べられる小魚に豊富に含まれているイメージがあります。他にも、豆腐や納豆などの大豆製品や、野菜にもカルシウムを多く含むものがあります

今回は、カルシウムとともに、不足しがちな栄養素を多く含む、TOWINGおすすめの作物をご紹介します。

①モロヘイヤ カルシウム含量・・・260mg/100g(生

生のモロヘイヤには、カルシウムの他に、β-カロテン(10000μg/100g)や食物繊維(5.9g/100g)、ビタミンK(640μg/100g)、葉酸(250μg/100g)も含まれています。 ぬめりがあり、のどごしよく食べられるので、 暑さで食欲のない時期にも食べやすいです。茹ですぎると栄養素が流出してしまうため、気を付けてください。サッと茹でるか、スープにするのもおすすめです!

②バジル カルシウム含量・・・240mg/100g

バジルも、β-カロテン(6300μg/100g)や食物繊維(4.0g/100g)、ビタミンK(440μg/100g)が豊富です。普段の料理の香り付けにだけでなく、ジェノベーゼなどバジルが主役の料理では、一度にたくさん摂取することが可能になります。また、家庭での栽培も比較的容易ですので、ぜひ挑戦してみてほしいです!





③ケール カルシウム含量・・・220mg/100g

野菜の王様と呼ばれるケールは、栄養バランスが良いことが特徴です。カリウム(420mg/100g)、鉄(0.8mg/100g)、食物繊維(3.7g/100g)、β-カロテン(2900μg/100g)、葉酸(120μg/100g)、ビタミンK(210μg/100g)、ビタミンC(81mg/100g)などさまざまな栄養素に富んでいます。
また、注目したいのは、ケールに多く含まれる色素の一種「ルテイン」です。眼の黄斑部や水晶体にも多く存在している成分で、ブルーライトを吸収する役割があることが報告されています。眼の疲れを和らげるためにも、スマートフォンやPCを多く使う方々は特に、意識して摂取するといいでしょう。おすすめの食べ方はサラダや青汁です。いかに苦味を抑えるかがポイントですが、茹ですぎると味が落ちたり色が悪くなったり、栄養素が流れ出るリスクもあります。お湯をたっぷり沸かした鍋に塩を少々入れ、ケールを1~2分だけ下茹でするとよいでしょう。


おまけ① サツマイモ(ベニアズマ)の葉 カルシウム含量・・・174gm/100g

月面農場で育てる8つの野菜のうちの一つにも選ばれたサツマイモの葉の部分には、鉄分(5,5mg/100g)、マグネシウム(107mg/100g)、ビタミンC(81mg/100g)、ビタミンB2(248μg/100g)などが豊富に含まれています。また、サツマイモの葉には、ルテインや、抗酸化能力をもつポリフェノール類も含まれています。根の部分に注目されがちなサツマイモですが、葉も上手く調理して余すことなく栄養を摂取できるといいですね。


おまけ② マカ カルシウム含量・・・356mg/100g

マカは、栄養豊富なスーパーフードで、ペルー原産のアブラナ科の根菜です。別名「アンデスの女王」や「アンデスの人参」とも呼ばれます。ビタミンやミネラルが豊富に含まれているのはもちろん、アミノ酸の一種であるアルギニンが豊富に含まれていることも特徴です。
原産国であるペルーでは、乾燥粉末製品のみ輸出が認められているため、ペルー産の生マカを日本で手に入れることはできません。根を粉末状にしたサプリメントなどの加工食品として取り入れることが主流でした。なんとか国内で栽培できないかと30年以上もの試行錯誤の上、日本産の生マカである「ベジマカ」というものが栽培されるようになりましたが、現在でも希少性が高いです。


以上、カルシウムを始め栄養素を豊富に含む、TOWINGおすすめ野菜の紹介でした。これらの野菜は、宇宙でのスーパーフードになるかもしれません。

栽培、調理の過程も楽しんで、体が喜ぶ栄養素を積極的に取っていきましょう!

【参考文献】
石田裕,サツマイモ(Ipomoea batatas Poiret)葉の機能性および食品への応用,日本調理科学会誌, 2009.